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C# 基底クラスのメソッドを置き換えるオーバーライド

C#プログラミングにおいて、オーバーライドは基底クラス(親クラス)のメソッドを派生クラス(子クラス)で再定義する強力な機能です。この機能を使うことで、継承の利点を活かしつつ、特定のクラスに固有の動作を実装できます。

本記事では、C#でのオーバーライドの基本的な概念から実践的な使用方法まで、初心者にも分かりやすく解説します。具体的なコード例を交えながら、オーバーライドの重要性と正しい使い方を学んでいきましょう。

目次

オーバーライドとは

オーバーライドとは、派生クラスで基底クラスのメソッドを新しい実装で置き換えることを指します。これにより、同じメソッド名を保ちながら、派生クラスで異なる動作を実現することができます。

オーバーライドを使用するための主な条件は以下の通りです:

  1. 基底クラスのメソッドが virtualabstract、または既にオーバーライドされていること。
  2. 派生クラスのメソッドで override キーワードを使用すること。
  3. メソッドの名前、戻り値の型、パラメータが基底クラスのメソッドと完全に一致すること。

オーバーライドの基本的な使い方

以下に、オーバーライドの基本的な使い方を示すサンプルコードを紹介します:

using System;

public class Vehicle
{
    public virtual void StartEngine()
    {
        Console.WriteLine("エンジンを始動します。");
    }
}

public class Car : Vehicle
{
    public override void StartEngine()
    {
        Console.WriteLine("キーを回してエンジンを始動します。");
    }
}

public class ElectricCar : Vehicle
{
    public override void StartEngine()
    {
        Console.WriteLine("スタートボタンを押してモーターを始動します。");
    }
}

class Program
{
    static void Main(string[] args)
    {
        Vehicle vehicle = new Vehicle();
        Car car = new Car();
        ElectricCar electricCar = new ElectricCar();

        Console.WriteLine("通常の車両:");
        vehicle.StartEngine();

        Console.WriteLine("\nガソリン車:");
        car.StartEngine();

        Console.WriteLine("\n電気自動車:");
        electricCar.StartEngine();

        // 多態性の例
        Console.WriteLine("\n多態性の例:");
        Vehicle[] vehicles = { new Vehicle(), new Car(), new ElectricCar() };
        foreach (Vehicle v in vehicles)
        {
            v.StartEngine();
        }
    }
}

このコードでは、以下のポイントに注目してください:

  1. Vehicle クラスの StartEngine メソッドは virtual キーワードで宣言されています。これにより、このメソッドがオーバーライド可能であることを示しています。
  2. Car クラスと ElectricCar クラスは Vehicle クラスを継承し、StartEngine メソッドをオーバーライドしています。オーバーライドには override キーワードを使用します。
  3. 各派生クラスで、StartEngine メソッドは独自の実装を持っています。これにより、各車両タイプに固有の動作を定義しています。
  4. Main メソッドでは、各クラスのインスタンスを作成し、StartEngine メソッドを呼び出しています。オーバーライドにより、各クラスで異なる出力が得られます。
  5. 最後の例では、多態性を示しています。Vehicle 型の配列に異なる派生クラスのインスタンスを格納し、同じメソッドを呼び出していますが、各オブジェクトの実際の型に応じて適切なメソッドが実行されます。

オーバーライドを使用することで、基底クラスの機能を拡張したり、特定の派生クラスに固有の動作を実装したりすることができます。これにより、コードの再利用性が高まり、より柔軟なプログラム設計が可能になります。

適切なオーバーライドの使用は、コードの可読性と保守性を向上させる重要な要素です。継承関係にあるクラス間で一貫性のある動作を保ちつつ、必要に応じて特定の動作をカスタマイズすることができます。

次のセクションでは、オーバーライドのより高度な使用方法や注意点について解説します。オーバーライドを適切に活用することで、より効率的で拡張性の高いコードを書くことができるでしょう。

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