MENU

C++ ポインタを格納する配列

C++プログラミングにおいて、ポインタと配列は非常に強力な概念です。これらを組み合わせた「ポインタを格納する配列」は、複雑なデータ構造を効率的に扱うための重要なテクニックの一つです。本記事では、C++初心者の方にも理解しやすいよう、ポインタを格納する配列の基本概念から応用まで、具体的なコード例を交えながら詳しく解説していきます。

目次

ポインタを格納する配列とは

ポインタを格納する配列とは、その名の通り、各要素がポインタである配列のことです。これは、複数のオブジクトへの参照を一つの構造体(配列)で管理したい場合に特に有用です。例えば、異なるサイズの文字列のリストや、多様なオブジェクトのコレクションを効率的に扱う際に活用できます。

基本的な構文

C++でポインタの配列を宣言する基本的な構文は以下の通りです:

データ型* 配列名[サイズ];

例えば、整数へのポインタを5つ格納する配列は次のように宣言します:

int* intPtrArray[5];

これは、5つのint*型(整数へのポインタ)を格納できる配列を作成します。

ポインタ配列の初期化と使用

ポインタ配列の使用方法を理解するために、具体的な例を見ていきましょう。以下のコードは、整数へのポインタの配列を作成し、使用する方法を示しています:

#include <iostream>

int main() {
    // 整数の配列を作成
    int numbers[] = {10, 20, 30, 40, 50};
    
    // ポインタの配列を作成(サイズは5)
    int* ptrArray[5];
    
    // ポインタ配列を初期化
    for (int i = 0; i < 5; i++) {
        ptrArray[i] = &numbers[i];
    }
    
    // ポインタ配列を使用して値を表示
    std::cout << "ポインタ配列の内容:" << std::endl;
    for (int i = 0; i < 5; i++) {
        std::cout << "ptrArray[" << i << "] が指す値:" << *ptrArray[i] << std::endl;
    }
    
    // ポインタを介して値を変更
    *ptrArray[2] = 300;
    
    std::cout << "\n値変更後:" << std::endl;
    for (int i = 0; i < 5; i++) {
        std::cout << "numbers[" << i << "] = " << numbers[i] << std::endl;
    }
    
    return 0;
}

このコードを実行すると、以下のような出力が得られます:

ポインタ配列の内容:
ptrArray[0] が指す値:10
ptrArray[1] が指す値:20
ptrArray[2] が指す値:30
ptrArray[3] が指す値:40
ptrArray[4] が指す値:50

値変更後:
numbers[0] = 10
numbers[1] = 20
numbers[2] = 300
numbers[3] = 40
numbers[4] = 50

この例では、ptrArrayの各要素がnumbers配列の各要素のアドレスを保持しています。そのため、ptrArrayを通じてnumbersの値を読み取ったり変更したりすることができます。

ポインタ配列の応用:異なる型のオブジェクトの管理

ポインタ配列のより高度な使用例として、異なる型のオブジェクトを管理する方法を見てみましょう。これは、多態性(ポリモーフィズム)を活用する際に特に有用です。

以下の例では、Shapeという基底クラスと、それを継承したCircleRectangleクラスを定義し、これらのオブジェクトへのポインタを配列で管理します:

#include <iostream>
#include <vector>

class Shape {
public:
    virtual double getArea() const = 0;
    virtual void print() const = 0;
    virtual ~Shape() {}
};

class Circle : public Shape {
private:
    double radius;
public:
    Circle(double r) : radius(r) {}
    double getArea() const override {
        return 3.14159 * radius * radius;
    }
    void print() const override {
        std::cout << "円(半径:" << radius << ")" << std::endl;
    }
};

class Rectangle : public Shape {
private:
    double width, height;
public:
    Rectangle(double w, double h) : width(w), height(h) {}
    double getArea() const override {
        return width * height;
    }
    void print() const override {
        std::cout << "長方形(幅:" << width << ", 高さ:" << height << ")" << std::endl;
    }
};

int main() {
    const int NUM_SHAPES = 3;
    Shape* shapes[NUM_SHAPES];
    
    shapes[0] = new Circle(5);
    shapes[1] = new Rectangle(4, 6);
    shapes[2] = new Circle(3);
    
    std::cout << "形状のリスト:" << std::endl;
    for (int i = 0; i < NUM_SHAPES; i++) {
        shapes[i]->print();
        std::cout << "面積:" << shapes[i]->getArea() << std::endl;
    }
    
    // メモリの解放
    for (int i = 0; i < NUM_SHAPES; i++) {
        delete shapes[i];
    }
    
    return 0;
}

この例の出力は以下のようになります:

形状のリスト:
円(半径:5)
面積:78.5397
長方形(幅:4, 高さ:6)
面積:24
円(半径:3)
面積:28.2743

この例では、Shape*型のポインタ配列を使用して、異なる種類の形状オブジェクト(円と長方形)を管理しています。これにより、共通のインターフェース(getArea()print())を通じて、異なる型のオブジェクトを統一的に扱うことができます。

ポインタ配列使用時の注意点

  1. メモリ管理:動的に割り当てたオブジェクトを格納する場合、必ずメモリを適切に解放する必要があります。
  2. 配列サイズの管理:固定サイズの配列を使用する場合、範囲外アクセスに注意が必要です。可変サイズが必要な場合は、std::vectorの使用を検討してください。
  3. nullポインタのチェック:ポインタ配列の要素を使用する前に、nullでないことを確認することが安全です。
  4. 型の一貫性:異なる型のポインタを同じ配列に格納する場合、基底クラスへのポインタを使用するなど、型の一貫性を保つ工夫が必要です。

ポインタを格納する配列は、C++プログラミングにおいて柔軟性と効率性を両立させるための強力なツールです。基本を理解し、適切に使用することで、より洗練されたプログラムを書くことができます。初心者の方は、まず小さな例から始めて、徐々に複雑な使用方法に挑戦していくことをお勧めします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次