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C++ newとdelete

C++プログラミングにおいて、newdeleteは動的メモリ管理のための重要な演算子です。これらを使用することで、プログラムの実行中に必要に応じてメモリを確保し、不要になったらそのメモリを解放することができます。本記事では、C++初心者の方向けに、newdeleteの基本概念から応用的な使用方法まで、具体的なコード例を交えながら詳しく解説していきます。

目次

newとdeleteの基本

new演算子は、動的にメモリを確保し、そのメモリへのポインタを返します。一方、delete演算子は、newで確保されたメモリを解放します。

以下に、newdeleteの基本的な使用例を示します:

#include <iostream>

int main() {
    // 整数のための動的メモリ確保
    int* ptr = new int;
    
    // 確保したメモリに値を代入
    *ptr = 42;
    
    std::cout << "動的に確保したメモリの値: " << *ptr << std::endl;
    
    // メモリの解放
    delete ptr;
    
    // ptrをnullptrに設定(良い習慣)
    ptr = nullptr;

    return 0;
}

この例では、newを使ってint型のメモリを動的に確保し、そのメモリに42という値を代入しています。使用が終わったら、deleteを使ってメモリを解放しています。

出力:

動的に確保したメモリの値: 42

配列の動的確保と解放

new[]delete[]を使用すると、配列を動的に確保し、解放することができます:

#include <iostream>

int main() {
    int size;
    std::cout << "配列のサイズを入力してください: ";
    std::cin >> size;

    // 動的配列の確保
    int* arr = new int[size];

    // 配列に値を代入
    for (int i = 0; i < size; ++i) {
        arr[i] = i * 10;
    }

    // 配列の内容を表示
    std::cout << "配列の内容:" << std::endl;
    for (int i = 0; i < size; ++i) {
        std::cout << arr[i] << " ";
    }
    std::cout << std::endl;

    // 配列のメモリを解放
    delete[] arr;

    return 0;
}

この例では、ユーザーが指定したサイズのint配列を動的に確保し、値を代入した後、その内容を表示しています。最後にdelete[]を使って配列のメモリを解放しています。

オブジェクトの動的生成と破棄

クラスのオブジェクトもnewdeleteを使って動的に生成・破棄できます:

#include <iostream>
#include <string>

class Person {
private:
    std::string name;
    int age;

public:
    Person(const std::string& n, int a) : name(n), age(a) {
        std::cout << "Person コンストラクタ呼び出し: " << name << std::endl;
    }

    ~Person() {
        std::cout << "Person デストラクタ呼び出し: " << name << std::endl;
    }

    void introduce() const {
        std::cout << "私の名前は" << name << "で、" << age << "歳です。" << std::endl;
    }
};

int main() {
    // 単一オブジェクトの動的生成
    Person* p1 = new Person("田中太郎", 30);
    p1->introduce();
    delete p1;

    std::cout << std::endl;

    // オブジェクトの配列の動的生成
    Person* people = new Person[3] {
        {"佐藤花子", 25},
        {"鈴木一郎", 40},
        {"山田悠太", 35}
    };

    for (int i = 0; i < 3; ++i) {
        people[i].introduce();
    }

    delete[] people;

    return 0;
}

この例では、Personクラスのオブジェクトを動的に生成し、その後解放しています。単一のオブジェクトと、オブジェクトの配列の両方の例を示しています。

newとdeleteの注意点

  1. メモリリーク:newで確保したメモリをdeleteで解放し忘れると、メモリリークが発生します。
  2. 二重解放:既に解放されたメモリを再度deleteすると、未定義動作を引き起こします。
  3. 不適切な解放:newで確保したメモリはdeleteで、new[]で確保したメモリはdelete[]で解放する必要があります。
  4. ヌルポインタ:deleteを使用した後は、ポインタをnullptrに設定することが良い習慣です。

例外安全性とスマートポインタ

newは例外を投げる可能性があります。例外安全なコードを書くためには、スマートポインタを使用することが推奨されます:

#include <iostream>
#include <memory>

class Resource {
public:
    Resource() { std::cout << "Resource acquired" << std::endl; }
    ~Resource() { std::cout << "Resource released" << std::endl; }
    void use() { std::cout << "Resource in use" << std::endl; }
};

int main() {
    // std::unique_ptrの使用
    std::unique_ptr<Resource> res1 = std::make_unique<Resource>();
    res1->use();

    // std::shared_ptrの使用
    std::shared_ptr<Resource> res2 = std::make_shared<Resource>();
    {
        auto res3 = res2;  // 参照カウントが増加
        res3->use();
    }  // res3のスコープが終了、ただしリソースはまだ解放されない

    res2->use();

    return 0;
}  // res1とres2のスコープが終了し、リソースが自動的に解放される

この例では、std::unique_ptrstd::shared_ptrを使用しています。これらのスマートポインタは、スコープを抜けると自動的にリソースを解放するため、メモリリークを防ぐことができます。

newとdeleteの代替手段

現代のC++では、可能な限り直接newdeleteを使用することは避け、以下の代替手段を検討することが推奨されています:

  1. スマートポインタ(std::unique_ptr, std::shared_ptr
  2. コンテナクラス(std::vector, std::arrayなど)
  3. 自動変数(スタック上のオブジェクト)

これらの方法を使用することで、メモリ管理のエラーを減らし、より安全なコードを書くことができます。

C++のnewdeleteは、動的メモリ管理のための強力なツールですが、適切に使用しないと問題を引き起こす可能性があります。初心者の方は、まずは基本的な使い方を理解し、徐々により安全な代替手段の使用に移行していくことをお勧めします。

適切なメモリ管理は、効率的で信頼性の高いC++プログラムを作成する上で非常に重要です。newdeleteの概念を深く理解し、同時に現代的なメモリ管理技術(スマートポインタなど)も習得することで、より安全で保守性の高いコードを書くことができるようになります。

継続的な学習と実践を通じて、適切なメモリ管理のスキルを向上させ、より堅牢なC++プログラムを開発できるようになることを目指してください。これらの基本的な概念と現代的な手法を適切に組み合わせることで、メモリリークやダングリングポインタなどの一般的な問題を回避し、高品質なソフトウェアを作成することができるでしょう。

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